セッケンと合成洗剤

メンバー 池田 大庭 重田

<動機と目的>

私たちの普段使っているセッケン、合成洗剤は、用途は大して変わらない。しかしなぜそのように二種類も存在しているのか?それぞれはどのような利点・欠点があるのか?また、合成洗剤はどれくらいの濃さで一番良くはたらくのか?それについて詳しく知りたかったのでさまざまな実験行って調べてみた。

<セッケン、合成洗剤の構造>

 ↑セッケンと合成洗剤の組成式(上…セッケン、下…合成洗剤)

      枠でかこってある部分は親油基といい、油(油性の汚れ)とくっつきやすい部分になっている

<合成洗剤の製作過程>

@ ラウリルアルコールを100mlのビーカーに12ml入れる。
A @のビーカーに濃硫酸を
4.5ml加えて冷却しながら5分間かき混ぜる。
     
ROH  + H2SO4 → ROSO3H + H2O
B Aで作ったものにフェノールフタレインを入れる(*オレンジ色になる)

C 水酸化ナトリウムをピンク色になるまで入れる。(冷却しながらおこなう)
      
ROSO3H  + NaOH →ROSO3Na
 D できたものをろ紙の上へ広げて乾燥させる。

*濃硫酸にフェノールフタレインを入れるとオレンジ色になる

<セッケンの製作過程>

@     ヤシ油(RCOOHと表記する)100g水酸化ナトリウム4g、エタノール20ml、水20mlを混合して沸騰水浴上で約20分間よくかき混ぜながら加熱する。

RCOOH +NaOH→RCOONa+H2O

A この反応液に飽和食塩水を注ぐ。(塩析する)

B 白色の固体が出てきそれをすくい、乾かす

<合成洗剤とセッケンの性質>

○セッケン、合成洗剤の水溶液の液性について調べるため万能試験紙を使って調べてみた。

(使用した純粋水PH6) 

     1.2%の合成洗剤   PH

     1.2%のセッケン    PH10

合成洗剤は、濃硫酸(強酸)と水酸化ナトリウム(強塩基)の塩なので水溶液は中性を示す。

セッケンは、RCOO-+H2ORCOOH + OH-となり加水分解のためアルカリ性を示す。

 

<塩化カルシウムとの反応>

○硬水(硬度300以上の水)中のセッケン、合成洗剤の洗浄作用をみるためCaCl2溶液使って調べて見た。

5%セッケン水、合成洗剤の水溶液5%のCaCl2溶液1ml入れる。

     セッケン水 → 白色の沈殿      2R-COONa  + Ca2+ → (R-COO)2 Ca↓ +  2Na +

     合成洗剤  → 変化なし

よって白色の沈殿の正体は(R-COO)2 Ca である。このような反応をしるすため硬水中では、セッケンの洗浄作用が落ちる

<メチレンブルー比色法>

○メチレンブルー比色法とは?

              界面活性剤(陰イオン系の量を測定したい液体に、メチレンブルー溶液とクロロホルム溶液を加えたのち、激しくかくはんし、数日間放置する。

              数日後、変化を比較する。上層のメチレンブルーの青色の色素が界面活性剤によって下層のクロロホルム層にたくさん溶かされていれば溶かされているほど、青く(写真では黒く見える)なり、界面活性剤の量が多いということがわかる。

○メチレンブルー比色法を用いた界面活性剤の量の測定

              合成洗剤の原液(モア)を10倍、100倍、1000倍…と100000000倍まで薄めたものを用意しメチレンブルー比色法を使い測定した。その後、メチレンブルー層((上層)とクロロホルム層((下層)がどのようにわかれているかを肉眼で比較した。

              結果はこのようになった。写真では見えにくいが、濃度が濃くなるにつれて界面活性剤の量が多くなっていることがわかった。(左から原液、10倍、100倍…となっている。)

<分光光度計を用いた濃度測定>

              前実験(メチレンブルー比色法を用いた界面活性剤の量の測定)では、1000倍以上に薄めると肉眼での比較が困難だったので、分光光度計という光を通して液体の濁り具合を測定する装置を用いて再度比較してみた。

              前実験の結果のクロロホルム層のみ取り出し、分光光度計の中に入れ、濁り具合を比較した。通す光の波長は650nm(この波長がいちばん変化がわかりやすかった)にあわせ、%で値が出るようにした。(%の値が小さくなるほど液体が濁っていることがわかる)

      結果はグラフで表すとこのようになった。1000〜100000倍のところで急激に濁っていることがわかった。つまり、この部分で界面活性剤の量が増えていることがわかった。  

       

<洗浄作用>

汚れの落ちかた
汚れと繊維は界面活性剤の分子によって結合力が弱められ汚れが界面活性剤の分子に包み込まれます繊維から離れた汚れは洗剤液中に分離しすすぐことで汚れが落ちます

○油との反応

@ 5%の合成洗剤、5%のセッケン水、純粋をそれぞれ体積試験管に入れた。

A     その中にヤシ油数滴入れて栓をして振った。

○結果

      合成洗剤、セッケンの水溶液は、乳化して油が小さな粒になって水中に浮き溶液は白色になっていた。この状態は上図の4の状態だと考えられる。また、合成洗剤はしばらくしても分離しなかった。純水は、油と水の二層に分かれていた。

S  洗濯実験

かくはん機を使い墨汁、水彩絵の具、油絵の具を綿布に染めたものを水、自分たちで作ったセッケンと合成洗剤の水溶液を使って2分間洗濯した。

 

合成洗剤

セッケン

墨汁

水彩絵の具

油絵の具

×

×

×

   ○結果

 

 

 

 

 

結果は、上の表のようになった。墨汁では、セッケン、合成洗剤を使った物が水より汚れの落ち具合が良かった。水彩絵の具では、合成洗剤を使ったものが、セッケン、水を使った物より汚れの落ち具合が悪かった。油絵の具はどれも汚れが落ちなかった。油が含まれていない汚れは、合成洗剤、セッケンを使用しなくても水とたいして洗浄効果は、かわらないということがわかった。

また、汚れの落ちやすさは汚れのついた時間に関係しているということがわかった。これは完全に乾いていない物をまちがえて洗濯してしまった時にわかった。しかし時間がなかったため詳しく調べることができなかった。

○合成洗剤の濃度の違いによる洗浄作用の違い

      ガラスの表面(ビーカーの裏)に油性の黒マジックで汚れをつけた。

      その後、10倍、100倍、1000倍…と薄めていった合成洗剤(モア)を布(素材は綿)にしみこませ、こすってみた。

 

 

 

○結果

      1〜10倍に薄めたもの

   強く、何度もこすらなければ汚れは落ちなかった。

      100〜10000倍に薄めたもの

   軽く、2、3回こすっただけですぐに汚れは落ちた。

      100000倍より薄く薄めたもの

   強く、何度もこすらなければ汚れは落ちなかった。

○結論

      合成洗剤は濃ければ濃いほど良くはたらくものではなく、逆に薄めすぎても良くはたらかないことがわかった。濃すぎると良くはたらかないという理由は、実際実験は行っていないので確かとはいえないが、濃すぎて合成洗剤が電離しにくくなっているからだと思われる。

また、Uv-1200で測定したものを使い河川中の界面活性剤の量が調べられる。

○結論

      合成洗剤は濃ければ濃いほど良くはたらくものではなく、逆に薄めすぎても良くはたらかないことがわかった。濃すぎると良くはたらかないという理由は、実際実験は行っていないので確かとはいえないが、濃すぎて合成洗剤が電離しにくくなっているからだと思われる。

      100〜10000倍という、いちばんよくはたらいた部分は、前回行った分光光度計を用いてのメチレンブルー比色法の結果での急激に界面活性剤の濃度が濃くなっている部分(グラフでは%の値が急激に減っていた部分)と、ほぼ一致していることがわかった。(2ページ目のグラフ参照)

<この実験を終えて>

      セッケンと合成洗剤とのちがいは、液性、汚れの落ち具合など、いろいろあったが、やはり一番違うところは環境についての影響だと思った。セッケンは微生物に分解されるが、それに対し、合成洗剤に含まれる界面活性剤は人間の作り出した物質なので自然の力では分解されない。この、環境に対しての面で考えると、セッケンの方がよいと思われた。

      合成洗剤の濃度別に分けての洗浄作用の違いを調べる実験からは、合成洗剤は適当に薄めて使えば洗浄効果が高いことがわかった。この結果から、合成洗剤を使う場合は、環境のこと、洗浄作用の良さの両面のことを考え、無駄にたくさん使うことはよくないということがわかった。

      いろいろな河川の、上流、中流、下流から水を採取してきてメチレンブルー比色法を行い、10倍、100倍、1000倍…と薄めていった合成洗剤にメチレンブルー比色法を行ったものと比較し、だいたい河川の水にはどれだけの界面活性剤が溶け込んでいるのかを調べる実験をしたかったのだが、時間が足りなく、出来なくて残念だった。

 

参考文献:www.try-net.or.jp/~tajima/ life/soap_senzai.htm

http://www.jccu.coop/coop_shouhin/senzai/gaku.htm

http://forum.nifty.com/fhonyaku/members/sc/env10.htmより