THE 空気抵抗

メンバー 青嶋 小林 長谷部 平崎

<動機>

物理の授業では、現実の世界に潜んでいる真理(物理法則)を探求するため、空気抵抗など現実的な摩擦を排除して物理現象を扱っている。そこで、私たちは、現実の世界に存在する空気抵抗についてもっと調べてみようと思った。

<空気抵抗を研究するには>

 まず、空気の流れを知る必要がある。そして調べた結果、空気の流れは層流、乱流の2種類があるということがわかった。

 では、物体の周りにある流れがどちらになるかは何で判断することが出来るのか、というと、それは1833年にレイノルズによって研究された。

<規則性の発見>

 流速がある速度までは層流に戻るが、その速度を超えると乱流になる。

図1 レイノルズ数と流体の流れ          図2 空気抵抗係数Cdとレイノルズ数Rの関係

図のとおりレイノルズ数が低いと流れが緩やかなので層流です。レイノルズ数が大きくなると乱流に変化する。

ちなみにグラフの急激にまがっているところが層流と乱流の境目です。臨界値はおよそ1000である。

<レイノルズ数とは>

                  Uは平均速度 dは物体の直径 

νは物体の粘性率を表わす。

一般にそれぞれの値がいろいろと違ってもレイノルズ数が同じなら流れの性質が同じと考えることができる。

<レイノルズ数と空気抵抗の関係>

まず前ページのグラフのR=1000のところで二つに分ける。R<1000では、反比例のグラフになり、R>1000では一定のグラフになる。

そこで比例係数をそれぞれk、k`とすると以下のような式になる。

R>1000の時

 

Cd=k´

 
 

 


・・・@                 ・・・A

 
                               

 


 

 

ρ・U・π・a

 
                       を@、Aに代入すると、

 

 

 

 


(※ ただし、ここではDは抵抗力、ρは流体の密度、μは流体の粘性率、d=2aである。)

点線部は定数なのでR<1000の時は、速さに比例し、R>1000の時は速さの二乗に比例する。

<実験>

・目的

実際に終端速度を測定し、レイノルズ数(R)を求める。

    測定方法  

今回は、体育館の天井から物体(発泡スチロールの球、風船、シャトル、ピンポン球)を落下させ、その着地する瞬間の速度をあらかじめ体育館の壁に貼り付けておいた一定距離の目盛りから測定する。

・測定結果

 

境界速度(m/s

R=1000)

速度(m/s

レイノルズ数

発泡スチロールの球

0.73

 

 

風船

2.86

2.4

8863

シャトル

6.84

7.8

37060

ピンポン球

12.5

12.0

32340

・考察                             3教科書 雨滴の変化

前ページの表より、計測したレイノルズ数はいずれも境界としたR=1000よりもはるかに上回っている。したがって私たちが日常生活で目にする大概の物体の速度の場合、空気抵抗力は速さの二乗に比例していると考えられる。

ちなみに教科書には空気抵抗は速さに比例すると書かれているが、それは速さがとても小さいときである。

<検証>

・目的

ここでは、先の実験から推測される空気抵抗と物体の速さの関係(空気抵抗力は速さの二乗に比例する)が本当に正しいのかどうかを検証する。

・検証方法

いろいろな物体の落下運動の軌跡(斜方投射)をビデオで撮り、パソコンで出力後、計算処理ソフト(Excel)を使用した自作のシミュレーションを用いてビデオに映っていた軌跡が、空気抵抗力が速度の二乗に比例した軌跡に近似できるか、速度に比例した軌跡に近似できるかを検証する。

・軌跡の撮影方法

 ビデオに実際に物を斜方投射しているところを撮り、 パソコンにて30分の1秒ごとに点を取っていく。

                             

・シミュレーションについて          4 発泡スチロールの球の軌跡

今回作成したシミュレーションは計算処理ソフト(Excel)を使用したものである。

このシミュレーションは

@空気抵抗力がかからない軌跡(理想の軌跡)

A空気抵抗力が速度に比例する力となる場合の軌跡

B空気抵抗力が速度の二乗に比例している力となる場合の軌跡

をそれぞれ映し出すことが可能である。

このシミュレーションを作成するにあたって使用した計算方法は

@     斜方投射した物体の速度をy軸方向とx軸方向に分解する。

A     それぞれの方向の速度から単位時間あたりの移動区間距離を割り出す。

B     区間移動距離をつなぎあわせ、その時間での物体の高さと移動距離を割り出す。

C 高さと移動距離をつなぎ合わせて物体の軌跡を二次元ではあるが映すことができる。

測定結果

下の図のように実際に撮った物体の軌跡は空気抵抗力が速度の二乗に比例していることがわかった。

  

5(写真左)6(同右) スポンジボール[バトミントンの羽]とその軌跡の重ね合わせ

<参考>

空気抵抗が速度に比例するのは、どのような場合か。

理論的には、水滴の場合直径0.2mm以下で速度に比例すると考えられる。

そこで私たちは暗い部屋の中で霧吹きを上方向に向け発射し、光を当ててその様子をビデオで撮影した。

結果と考察:たくさんの水滴がおりてくるその最後の方に出現する、見えにくい霧状の粒などの空気抵抗力が、速度に比例した空気抵抗力がかかると思われる。

<まとめ>

この研究を通してわかったことはまず、流体の研究はとても難しかったということだ。そして、この研究の中心を担ったシミュレーションはとてもすごいということもわかった。シミュレーションを使えば実際自分で行うと、とても時間のかかることをすぐにでき、そして地球上では決してできないこともできるようになる。この研究のおかげで探求の面白さ、難しさ、そして達成したときの喜びを知ることができた。とても有意義な研究ができたと思う。

 

 

参考文献  物理なぜなぜ事典@ 〜力学から相対論まで〜(江沢洋 東京物理サークル 編著)日本評論社

      高等学校物理TB改訂版(斎藤晴男 兵頭申一 編)啓林館